フリーランスの大きなメリットのひとつは仕事する相手を自分で選べることです。企業に属していると「担当とウマが合わない」「なんか一緒に仕事したくない」からといって仕事を断ることは難しいですが、フリーランスであれば自分の判断ひとつで選択することができます。
もちろん売上を上げる必要があるので、自分が気に入った相手だけとはいかないかもしれませんが、上手に選り好みをすることで利益効率が高まり、うまく仕事がまわるようになります。
この記事を読むことで、下記のようなメリットが得られます。
- 顧客選定の重要性が分かる
- 顧客とのトラブルのリスク低減ができる
- 効率的なビジネス運営ができる
- ブランディングの強化につなげることができる
また、この記事は下記のような方におすすめです。
- Webフリーランスを始めたばかりの方
- 過去の取引でトラブルを経験したフリーランス
- クライアント獲得のためのマーケティングに興味がある方
- フリーランスを考えているサラリーマンや学生
- フリーランスエージェンシーや仲介業者
それではいってみましょう。
仕事を断るべき相手とは?
私がまず考えるのは「このクライアントを満足させてあげたいと思えるか?」という感覚です。 相手との相性や先方の対応や態度、仕事への姿勢などいろんな要素があると思いますが、この質問に「YES」と言えない相手とは仕事をしないことにしています。
正直、直感的な部分もありますが、そうなりやすい相手の具体的な特徴としては以下のようなものがあります。
- フリーランスなら土日・深夜対応も当然、単価も安いと思ってる。
- 見積書や契約などを取り交わさずに作業を依頼してくる。
- 予算が足りないのに依頼範囲を減らさずに頼もうとする。
- 一見物腰が柔らかいが部下や身内への対応が横柄。
- そもそも基本的なコミュニケーションが困難
- 自分に対してストレスになる要素がある。
- 業務範囲や条件が頻繁に変わる。
- 仕事や自社への悪口が多い。
- 過去の評価が低い。
仕事は断らずに断らせるようにする
仕事を請けたくない相手からの依頼は断らずに断らせるのがポイントです。その1つの方法は見積りを高く出して先方から断られるように仕向けます。この時に単価を上げるのではなく、ディレクションやプロジェクトマネジメントなどの管理工数を多く見積もるのが良いでしょう。
実際にコミュニケーションが面倒な相手であればこの辺りの工数は跳ね上がります。もしその見積りが受け入れられたとしても、このくらいもらえるなら面倒だけどやってもいいかなという金額にしておけばよいでしょう。
もしくは「請けたいのですが、今は仕事が詰まっていて○ヶ月以上先になってしまうが、それでもよければ・・・」と請けたい意志を見せつつ断らせるという方法もあります。
どうせ請けたくない相手ならはっきりそう言ってしまえば良いと考える方もいるかもしれません。しかし、フリーランスとしての「信頼性」や「プロフェッショナルイメージ」の維持は、継続的な仕事の依頼や「口コミ」を通じた新しい案件の獲得に直結します。直接的な「断り」は、時として相手に不快な思いをさせたり、プライドを傷つけたりすることになり、周囲に悪評を立てられる懸念があるので避けた方が無難です。
新規取引先の場合の判断は?
担当者は感じが良くても会社として取引をした際に問題が起きるケースもありますので、そのあたりも事前にチェックしましょう。「(会社名) 評判」などで検索したり、求人サイトなどでその会社の口コミをチェックしたりするといいでしょう。 遅い時間まで働く傾向のある会社は外注先にもそれを要求する可能性が高いですし、離職率が異常に高い会社も避けた方がよいでしょう。
また、支払い面で問題ないかもチェックが必要です。最近はオンラインのやりとりのみで、実際に先方のオフィスなどに行かずに仕事が進むケースも多いので、より注意が必要です。新規の取引は着手金をもらうなどのリスクヘッジをするようにしましょう。
そして、大きな会社だから問題ないだろうと油断するのもNGです。担当者が会社の決済がおりる前に依頼していて、案件が消滅した上に仕掛かり分の支払いがされなかったといった事例もあります。見積りや発注書などをきちんと取り交わしてから作業に入りましょう。
また、いきなり大きな仕事を請けずに小規模な案件から請けたり、プロジェクトを設計と制作のように小分けたりして契約をすることで、トラブルがあった際の被害を最小限に抑えることもできるでしょう。
買い叩かれない上手な見積もりの出し方とは
フリーランスは足元を見られやすいので、仮に案件があまりなく、売上が心もとなくて仕事が欲しくても、「仕事には困っていないので、正当な対価であればお仕事を請けますよ」というスタンスでいくことをおすすめします。安請負してしまうフリーランスは、顧客から「自分の価値を下げてでも案件獲得をしたい=案件が少ない=スキル」が低いと思われ、足元を見られてしまいます。
もちろん高い品質の仕事を提供するのが前提ですが、そのような接し方の方が相手の満足度も上がりますし、周囲への評判も高くなります。「あの人は安くはないけど腕は確かで信頼できる」と紹介されるようになれば理想的です。
また見積もりを出す際に、「もし高かったら相談してください」というのもNGです。それでは交渉したら安くなると言っているようなものです。
とはいえ見積もりが合わずに失注したくない気持ちも分かります。そんな時は「予算が決まっているようでしたら予算内で実現する方法を提案します」と添えるのが良いでしょう。
基本的に予算を下げるには、やることを減らすしかありませんが、クライアントや代理店に作業を巻き取ってもらう、修正の回数を制限するといったことで予算を抑える方法もあります。
フリーランスで収入が安定しないから、顧客満足度を上げたいからといって、なんでもかんでもクライアントに言われた価格でやるのではなく、「それをやるには追加でいくらかかりますがいかがいたしますか?」など、きちんと価格提示していった方が、結局は顧客の信用につながります。
安い案件は請けたらダメなの?
もちろん正規の単価で取れるのがベストですが、安い案件は全て断れということではありません。
- 利益度外視でも自分がやってみたいと思える案件
- 有名企業や話題になっている商品など実績として今後の資産になる
- 継続的に仕事が見込めるなど次の案件につながる
- つながりを作っておきたい会社
- いつもお世話になってる人に借りを返せる
と言った場合には請けることもありでしょう。
その代わり、本来ならどのくらいの費用をいただいているけど、特例で安くやっていることをきちんと理解してもらうことが重要です。そうしないとそれが通常の単価として認識されてしまいます。
これに限ったことではないですが、何かおまけで提供するときは、それはおまけだと言っておかないと通常のサービスと思われてしまい、「相手は料金内なんだからちゃんとやって」こちらは「おまけでやってあげてるのに」というすれ違いが起こってしまいます。
まとめ
売上が少ない時に仕事を選り好むというのはなかなか難しいかもしれませんが、「仕事に困ってるから無理をきいてもらえるフリーランス」と認識されてしまうと、質の悪いクライアントが増え、費用に見合わない多大な時間を取られて新規の営業ができなかったり、ストレスで体を壊してしまってさらに売上が立てづらくなったりという悪循環に入ってしまいます。
逆に、適切な顧客を選ぶと、ストレスの少ない業務環境を作ることができます。これが、作業のクオリティ向上に繋がります。また、無駄な打ち合わせや誤解から生まれるトラブルを減少させることができるため、効率的な業務遂行が可能となり、ワークライフバランスが向上します。さらには信頼関係を築いた顧客からは、リピートの依頼が増えます。これにより、安定した収入が見込めるようになります。
つまり、上手に仕事を選り好むことは成功への第一歩なのです。
先ほども言ったように「あの人は安くはないけど腕は確かで信頼できる」と認知してもらうことが重要です。そのために自己研鑽を怠ることなく、常に高い品質の仕事をするのは当然ですが、良い仕事をすればさらに良い仕事が舞い込んできて、実績やスキルもつくという好循環に入れるようになるというわけです。
Webフリーランスとして成功する秘訣については、下記にもまとめていますので、あわせて読んでいただけたらと思います。
この記事を書いた人
WRITER
中村 和正
Kazumasa Nakamura
株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター
Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。