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ランディングページとは広義にはWebサイトにユーザーがたどり着いたページのことです。ユーザーは必ずトップページから訪れるとは限らず様々なページからWebサイトに訪れます。
またインターネット広告のリンク先として顧客獲得のために作成したページを指してランディングページ(LP)と呼ぶことも多いです。今回はこの顧客獲得のためのLP制作について説明します。
ランディングページの役割
LPは売上拡大、顧客獲得に至るためのプロセスの1つであるため、まずは全体の流れを理解した上でランディングページの役割を理解することが重要です。まず全体の流れは下図のようになります。
LPでは広告から誘導したユーザーに商品やサービスのPRをして購入や会員登録などユーザーのアクションを促します。ここではいきなりメインのサービスではなく、化粧品を買ってもらうためのお試しサンプル申込みやアプリやツールであれば無料版の利用などを訴求します。
そして、このときにメールアドレスを獲得して、メルマガなどで継続的にコミュニケーションを取りメインのサービスに引き上げていくというのがセオリーです。商材によってはメインサービスの申し込みだけではまだ広告費は回収できず、リピート購入や一定期間の継続利用をしてもらうことでようやく広告投資を回収し利益化していきます。
LPは広告との連携プレーが重要
基本的に広告は流入、LPは獲得が役割になりますが、ここは連携プレーなので呼応していることが重要です。
例えば広告では「3ヶ月で00kg痩せた」といったことを謳っているのにLPでその事例などがないとユーザーの期待は肩透かしをくってしまい獲得の確率は下がってしまいます。
広告は流入するユーザーを最大化すること、LPはより獲得効率をあげることが役割となります。ですのでどちらか一方ではなく、両方のバランスを最適化することでより成果をあげていくことが重要です。
ランディングページを作成するステップ
ランディングページは以下のステップで制作していきます。
①ストーリー | 商品やサービスを魅力的に伝え、納得してもらうための情報を集め、何をどのような順番で語るかを考えます。LPの成果はこのストーリー作りで8割方決まると言っても過言ではありません。 |
②レイアウト | ストーリーをもとにレイアウトを検討し、ワイヤーフレームを作成していきます。ここでは、ユーザビリティを中心にディスプレイに入る情報の範囲や情報の強弱を検討します。 |
③デザイン | LPのデザインでは、前工程までで作られたストーリーをいかに分かりやすく、熱を持って伝えられるかということがポイントになります。 |
これをいきなり白紙に、入れる文章や内容を考えながらレイアウトを考えて、配置する写真を探して〜といった具合にデザインしていくと全体の流れや整合性を取るのは非常に難しいです。
いきなりデザインに入るということは流石に無いと思いますが、ストーリーとレイアウトを同時に作ろうとしてワイヤーフレームを試行錯誤してしまっているケースはたまに見かけるので、ストーリーとレイアウトも分離して作業していくことがポイントです。
ストーリーをつくるための大前提
ストーリー作成するために1番重要なポイントがあります。例えば自分の好きなアーティストのコンサートに友達を誘うとします。この時はきっと言葉に詰まることなく、相手に熱のこもったプレゼンができるはずです。
その理由は大きく2点あります。
1つめはそのアーティストの魅力やそのアーティストから自分がどんな喜びや経験を得られたかを身を持って知っていて、それを相手にも体験して欲しいと熱意をもって語ることができること。
2つめはそれを伝える相手のことをよく知っていて、どういうところに興味をもってくれるのか、何を気にするのかなど知った上でコミュニケーションができること。
この後に体系だった手法を解説していきますが、テクニックとしてこなさず、自分の好きなものを友達に薦めるようにまずは売ろうとする商品・サービスとそれを伝える相手のことをきちんと知ることが1番重要になります。
ストーリーの作り方
ストーリーの作成にあたってはまずは必要な材料を集めます。
ターゲット
語りかける相手によって、使う言葉や伝える内容が変わりますので、ターゲットを明確にしましょう。年代・性別・利用シーン・収入・ニーズや課題などを整理し、ターゲットはどんな人なのか、何を求めているのかを考えます。
提供できる価値
この商品・サービスを手に入れることでユーザーはどんな価値や体験を手に入れることができるのか
商品の特徴
- スペックやサービス内容など
- 特長や競合優位性などの強み
- 競合に劣る点やユーザーに不便をかけてしまう点などの弱み
開発者・提供者の思い
どんな思いやポリシーをもってこの商品・サービスをつくったのか。顧客にどうなって欲しいと考えているのかなど。実際にヒアリングするのが望ましいですが難しい場合は自分なりに想像してみます。
これらの情報を集めたらストーリーを作成していきます。
ストーリー作成の参考例
具体的にイメージできるように参考例をもとに作成の流れを見てみましょう。ここではスキンケア商品の事例をもとに説明していきます。
集めた情報
ターゲット | スキンケアは効果の高いものできちんとしたいけど、肌が弱く使える化粧品が限られてしまっている女性。肌荒れしてしまうとメイクもできずに沈んだ気持ちになってしまうことも。 |
商品の特徴 | 自社開発の製法で他社よりも高い保湿力をもつ。オーガニックな素材のみで敏感肌でも使える。 有名アートディレクター監修のパッケージデザインでおしゃれ。 添加物を使わないため使用期限が短い。 |
提供できる価値 | 自然由来の成分で敏感肌の人でも使える高機能なスキンケア。高保湿力で肌のキメや調子を整える。オールインワンなのでスキンケアにかかる時間も最小限。 |
開発者の思い | 自分が超敏感肌で化粧品の選択肢が少ないことが悩みだった。旅行でもアメニティが使えず準備がいつも大変で、そんな自分の悩みを解消してくれるような商品を作りたかった。 |
ここからストーリーを考えていきます。ここは相手に手紙を書くようなイメージで書いてみましょう。
敏感肌で化粧品選びに悩んでいると言っていましたよね?そんなあなたにピッタリの商品があるので紹介したいと思います。
どんな商品かと言うと、自然由来の成分だけで作ったので敏感肌の方でも使いやすく、高い保湿力があるので肌のキメや調子を整えてくれます。しかもオールインワンタイプなので時間のないときでも万全のケアをすることができます。
無添加なので使用期限が短く大容量タイプがないのですが、持ち歩いているだけで気分も楽しくなるパッケージデザインでいつでも手元においておきたくなる商品です。
実は私自身が超敏感肌で化粧品選びは悩みの種。評判が良いと買ってみたものの肌に合わずに無駄にした化粧品は数知れず。しかも仕事が忙しく十分なスキンケアもできないま寝落ちしてしまい、起きた時に後悔することもしばしば。
だったら自分にあったものを作ってしまおうと思って試行錯誤を繰り返し開発したのがこの商品です。私と同じような悩みを抱えている女性にぜひ使って欲しいと思っています。
ここでは相手に買ってもらいたいがために売り文句を並べ立てないように注意しましょう。ちゃんと読んでもらえれば買ってもらえるという感じがベストです。
次にユーザーの購買(決心)に影響を及ぼす要素を盛り込んで、訴求力や信頼感を高めていきます。
購買影響要素
項目 | 内容・ポイント |
---|---|
マインドキャッチ | ユーザーに足を止めて話を聞いてもらうための情報 主にメインビジュアル・キャッチコピーなど |
信頼感 | 歴史、実績、こだわり、運営会社など信頼感を感じさせる情報 |
親近感 | スタッフの顔、製造者の顔など。誰がやっているサービスなのか |
希少性・限定感 | 期間限定、数量限定、地域限定など |
店舗サービス | 送料無料、ポイントなどこの店舗で買う意義 ※他店舗でも購入できる商品の場合は特に。 |
第3社評価・人気の演出 | クチコミ、受賞歴、メディア掲載、テスティモニアルなど |
比較 | 他社商品、自社商品(新旧)などとの比較 |
これらの要素を盛り込んで加筆したものが以下です。
せっかく人気の化粧品を買ったのに肌にあわずに棚の奥に。。
そんな経験はありませんか?敏感肌で化粧品選びに悩んでいると言っていましたよね?
そんなあなたにピッタリの商品があるので紹介したいと思います。しかも購入者の98%が満足したと回答。◯◯コスメ大賞も受賞した商品なんです。
どんな商品かと言うと、自然由来の成分だけで作ったので敏感肌の方でも使いやすく、高い保湿力があるので肌のキメや調子を整えてくれます。しかもオールインワンタイプなので時間のないときでも万全のケアをすることができます。
実証実験を行ってみるとA社・B社と比較して保湿力が1.5倍でした。
無添加なので使用期限が短く大容量タイプがないのですが、持ち歩いているだけで気分も楽しくなるパッケージデザインでいつでも手元においておきたくなる商品です。
パッケージデザインは世界的有名ブランドとのコラボ商品なども手掛ける
アートディレクターの〇〇〇〇さんによるプロデュース!実は私自身が超敏感肌で化粧品選びは悩みの種。評判が良いと買ってみたものの肌に合わずに無駄にした化粧品は数知れず。しかも仕事が忙しく十分なスキンケアもできないま寝落ちしてしまい、起きた時に後悔することもしばしば。
だったら自分にあったものを作ってしまおうと思って試行錯誤を繰り返し開発したのがこの商品です。
美容にも詳しい皮膚科の専門医と協力して研究所を創設。自分自身が試して効果や肌への負担を納得いくまで磨きあげました。さらに肌トラブルに悩む1,000人のモニターに利用してもらい実証。
私と同じような悩みを抱えている女性にぜひ使って欲しいと思っています。
この商品のお試しセットを今月中なら限定で50%OFFの980円で購入いただけます。
さらに、もし効果に満足いかなければ全額返金いたします。
内容は変わってませんがより訴求力の強い文章になったのではないでしょうか?
実際にはこの段階でクライアントや周りメンバー、ターゲットに近い人に見せてみて文章だけでも買ってもらえそうというところまでブラッシュアップをしていきます。
ワイヤーフレームの作成
次に作成した文章をもとにワイヤーフレームを作成していきます。ストーリーはできあがっているので、ここではコピーや文章を整えながら、視線の流れなども考慮しレイアウトを検討します。作成したストーリーをより魅力的に伝えられるようにしていきましょう。
左では文章のみでメリハリもなく読んでもらえない可能性が高いですね。また「商品を購入」で完結しているように見えてしまい、ユーザーの離脱も懸念されます。
右のようにメリハリをつけ適時イメージなどを活用していくことで読んでもらいやすくなります。ここまで作成できたらあとはデザイナーの腕に託しましょう。
まとめ
まず大事なポイントは以下の2点。
- 売ろうとする商品・サービスと相手のことをきちんと知る。
- ストーリー作り、レイアウト、デザインを分離して行う。
その上で
- 必要な材料をあつめる。
- 相手に向けて手紙を書くようなイメージでテキストを書く。
- 買いたくなるような情報を肉付けしてブラッシュアップする。
- ストーリーがより伝わるようにレイアウトする。
という流れになります。
これからLPを作成する、またはLPを作成したけどうまく効果が出ないという方はこのあたりを参考に制作してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
WRITER
中村 和正
Kazumasa Nakamura
株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター
Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。