何事も準備が8割と言いますが、フリーランスになるとどれだけ準備をしたつもりでも想定外の出来事や予想外の支出などは発生します。それらを最小限におさえて事業を上手く進めるための準備のポイントをまとめました。
フリーランスのメリット・デメリット
フリーランスになれば自分の好きな働き方ができるわけですが、良いことばかりではありません。何を望むかによっては会社員の方がいいという場合もありますので、まずはメリット・デメリットを知って、自分がフリーランスとして生きていきたいのか確認してみましょう。主なメリット・デメリットは以下になります。
メリット
・自由な時間に働くことができる。
・やりたい仕事を選べる。
・売上をあげれば全て自分の報酬になる。
・人間関係のストレスが軽減される。
デメリット
・生活リズムが乱れやすくなる。
・収入が不安定になる。
・社会的信頼が低下する。
・経理や総務などの事務も自分でやらないといけない。
自分の資質を知っておく
やりたい仕事だけ請けて、自分の好きな時間に働き、望んだ額の報酬を得る。
これがフリーランスを目指す人の理想像ではないでしょうか。もちろんフリーランスになれば実現できる可能性はありますが、そうなるとは限りません。逆のパターンとして、仕事が取れずに収入が減り、生活費のためにやりたくない安い仕事も受けなければならないというケースも起こりえます。
ストレス耐性という言葉がありますが、これは単に強い弱いだけでなく、ストレスの種類にもよります。例えば徹夜で働くのは苦じゃないけどテレアポは絶対にやりたくないという人もいますし、その逆の人もいるでしょう。
フリーランスは収入が不安定になりやすいので、売上やお金がないストレスに弱いと厳しいですが、逆にお金は無くてもいいが苦手な人と働くのは嫌だという人には向いていると言えます。なので自分がどんなストレスに強い(弱い)のかも把握しておきましょう。
自分の資質を客観的に把握するのは難しい部分もありますので、ストレングスファインダーなど資質を診断してくれるツールなどを活用するのもよいでしょう。
成功イメージをつくる
具体的に独立の準備をするにあたって、どのようなフリーランスになりたいのかを具体的にしていきましょう。成功イメージを具体的に持つことでモチベーションも維持できますし、なにか判断をしなければいけない時のよりどころにもなります。考える要素としては報酬と時間、生活スタイルが考えやすいでしょう。
- めちゃくちゃ働いて年収1500万稼ぐ。
- 週休3日で年収600万稼いで趣味に使う時間を手に入れる。
- 日本中好きなところに行きながら仕事する。
など自分のスタイルにあわせて目標を立ててみましょう。
またこの時に目標だけでなく、やらない事も決めておくのがおすすめです。「徹夜で仕事はしない」「時間単価で〇〇円以下の仕事は請けない」などやらない事を決めておくと方針がブレずらくなります。
開業資金の目安
さて独立には開業資金が無くてははじまりません。Web系の職種は大きな設備投資は必要ないですが、生活費は確保する必要があります。
貯金や退職金、失業保険など。またはパートナーの収入に頼れる、他の不労所得があるなどのケースもありますが、事業に頼らない生活費は必須になります。
目安としては最低でも1年間は売上ゼロでも暮らせる資金は用意しておきたいです。資金もないのに入金の予定もなく、お金が出ていく一方、目先の支払いも危ういという状況になってしまうと精神衛生的にも良くないですし、焦って請けた安い仕事に時間を取られて営業する時間が取れなくなるといった判断ミスも起きやすくなります。
また、この時に注意したいのはサラリーマン時代の給料=フリーランスとしての年商ではないということです。サラリーマンであれば社会保険の半分を会社が負担してくれてますし、一時的に仕事ができなくなっても有給休暇や休職して手当をもらうといったことができます。
しかし、フリーランスは保険も自己負担ですし、仕事ができなくなればその分の収入は無くなります。なのでサラリーマン時代の生活レベルを維持するのであれば、年収×1.5くらいの利益(年商-販売管理費)を目安にするとよいでしょう。
生活基盤を整える
フリーランスとして独立直後は事業にかなりのリソースを割くことになります。そんな時に家族の反対やプライベートのトラブルなどがあると、事業に集中できずに立ち行かなくなってしまう場合があります。
まず家族やパートナーの理解を得られていること、家賃やローン、借金返済など負担の大きい支払いを最小限に抑えて家計がまわっていることなど生活の基盤が整っている状況ができていることが重要になります。
協力者をつくる
在職中に独立することを公言し過ぎるのは良くないですが、ある程度具体的に計画が立ってきたら身近な人や信頼できる人に独立することを告げて協力者を増やしていきましょう。
勤めていた会社やその取引先などは強力な協力者になり得ます。特に同じ業界であれば仕事を振ってくれたり、紹介してくれたりといったことも期待できますので、独立したあとに違う立場で良い関係性を作れることが理想的です。
逆に迷惑をかけるような辞め方をしたり顧客を奪うような不義理をしてしまうと、悪い評判が立ったり、最悪の場合訴えられてしまうこともあります。
現職に不満や問題があって独立をする人もいると思いますが、これから独立という時に敵を作ってもいいことはないので、今後関わりを持たないとしても円満に退職するようにしましょう。
また同職種のフリーランスの人がいれば相談しましょう。ライバルになるかもしれないと思いがちですが、実際は大きなプロジェクトであれば協業したり、自分が請けられない時に紹介したりと助け合うことの方が多いですし、先輩フリーランスの経験談は重要な情報になるので、ぜひ協力者になってもらいましょう。
売上計画を立てる
実際に独立してみると想定していなかった出費などで思ったより利益が残らなかったり、目標の売上に達していないのに業務過多になってしまったりということが起きてしまうことがありますので売上計画を立ててみましょう。
実際に業務がはじまったら売上や経費などを細かな項目に分けて記載する必要がありますが、まずは大枠の項目で考えてみましょう。
項目 | 内容 | 1月 | 2月 | 3月 | ~ |
---|---|---|---|---|---|
A)売上 | クライアントから受け取った売上 | ||||
B)原価 | 売上のために必要な仕入れや外注費 | ||||
C)固定費 | オフィスや通信費など毎月固定でかかる費用 | ||||
D)変動費 | 事業にかかった費用で不定期なもの | ||||
利益 | A)売上ーB)原価ーC)固定費ーD)変動費 |
となりますので、これを月別に入れてみましょう。徐々に売上をあげていく計画になるので最初の頃は赤字になると思いますが、年間を通して利益が残るかを確認します。そしてこの利益から生活費・保険・税金を捻出できればこの事業でやっていけるということが分かります。
ただしこの時に実現が難しい売上目標では計画の意味がなくなってしまいます。売上は目標プランと最低プランを考え、支出は最大プランで考えるようにしてください。計画表を書くと「売上はこのくらい頑張ろう」「経費は頑張って抑えよう」と書いてしまいがちなので、収入は最低プラン・支出は最大プランで考えるクセをつけていってください。
まとめ
もちろん準備は大切なのですが、正直なところ実際に上手くいくかはやってみないと分からないので、どこかで決心を決めて飛び出さないといけません。
しかし、この時に十分な資金があれば失敗しても貯金がゼロになったで済みますが、資金がないと失敗して500万の借金ができたなんてことになってしまう場合もあります。また資金を準備しておくことでピンチを乗り切って事業を継続できることもあります。
チャレンジにリスクはつきものです。嫌なことは考えたくないですが、そのリスクとも向き合っていざという時の対処を用意しておくことも大切な準備のひとつです。できる限りの準備をしてフリーランスとして成功を目指しましょう。
この記事を書いた人
WRITER
中村 和正
Kazumasa Nakamura
株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター
Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。