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フリーランスになり、会社のルールに縛られることなく、自由に働きたいと思っている方も多いのではないでしょうか。一方で、「フリーランスになることで社会的信用が低くなってしまうのではないか」と不安に思っている方もいるかと思います。
そこで本記事では、フリーランスの社会的信用の実態や、社会的信用を上げる方法について解説します。独立に不安がある方や、すでに独立していて社会的信用を上げたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
フリーランスの社会的信用は高くなっている?
社会的信用とは、高い経済力や社会的地位などに裏付けされた信用力のことです。フリーランスは、固定給のサラリーマンと比べて仕事や収入が安定しづらいため、社会的信用が低い傾向があります。
会社員は終身雇用や労働法が適用されるので、毎月安定した収入が期待できるうえに、不景気によりリストラされるリスクも低いのが大きなメリットです。会社員の社会的信用は、勤務年数や年収、企業の規模などが影響し、大規模な会社で長く勤務されている方ほど、社会からの信用は高くなる傾向があります。
一方で、業務委託で働くフリーランスは、景気による影響も受けやすく、自分で仕事を獲得しなければ収入も下がってしまうので、毎月の収入が安定しない立場と見られています。
しかし、近年はフリーランスとして仕事がしやすい環境が整い、フリーランスの人口が増えたこともあり、その分正しく評価されるようになってきました。そのため、社会的信用も以前に比べて徐々に高くなってきています。
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フリーランスが増えた理由
フリーランスは年々増えており、内閣府が発表した「政策課題分析シリ-ズ 17 日本のフリーランスについて」では、2005〜2015年の10年間で15万人増加としています。
また、総務省は「令和4年就業構造基本調査 結果の要約」で、以下のように発表しています。
15歳以上人口の就業状態
・2022年(令和4年)10月1日現在の有業者1)は6706万人(5年前に比べ85万人増加)。無業者は 4313万人(5年前に比べ163万人減少)
・有業率2)は60.9%(5年前に比べ1.2ポイント上昇)
このように、さまざまなデータからフリーランスが増えていることがわかります。
では、なぜフリーランスとして働く方が増えたのでしょうか。ここでは、フリーランスが増えた理由について解説します。
理由①リモートワーク・テレワークの普及
新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワーク・テレワークという新しい働き方が浸透して、オフィス以外でも働くことができるようになってきました。実際に、厚生労働省が「働き方改革」の実現に向けて、テレワークの普及を促進しています。
厚生労働省は、「テレワーク総合ポータルサイト」を開設し、テレワークの導入・活用に向けた一層の支援を行っています。テレワーク・リモートワークという柔軟な働き方を国が推進することで、多様な働き方が社会に受け入れられてきたのです。
特にWebデザイナー・エンジニア・ライターはオフィスに出社せずとも納品物で評価される職業です。「プライベートの時間も確保したい」「満員電車に乗りたくない」といった理由でWeb系フリーランスへ興味を持つのは自然な流れと言えます。
実際、ランサーズの調査では2022年のフリーランス人口は1,577万人、2015年と比較すると640万人も増えているとの結果が出ました。
理由②クラウドソーシングサイトの普及
労働人口の不足による影響で、フリーランスを活用する企業が増加しています。 最近はクラウドソーシングサイトやフリーランス向けエージェントなどが普及し、個人が企業の案件を請けることも簡単になってきました。
そのため、今後もフリーランス向けの案件が増える可能性が高いと考え、独立する方が増えている要因となっています。
副業を認める企業も増え、大手クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」も、ワーカーの半数以上が副業形態であると推測しています。
企業側から見てもクラウドソーシングサイトの活用は、希望条件を満たしたワーカーを探すことができることが大きなメリットです。
また、自分が運営するブログやSNSで仕事を獲得することもでき、フリーランスや副業で仕事を獲得する際のハードルも下がってきています。
とくにWeb系フリーランスは納期を守れば、労働時間を調整しやすいため、本業との両立もしやすいと言えます。
フリーランスは社会的信用の実態
では、フリーランスが増えている近年の社会的信用はどうなっているのでしょうか。
ここでは、フリーランスのローン審査やクレジットカードの作成など、フリーランスになる前に不安に思うことが多いと言われている点の実態について解説します。
実態①ローン審査
「フリーランスは収入が不安定だからローン審査は組めない」と思っている方も多いのではないでしょうか。 確かに、会社員とは違って簡単にローンを組むことはできず、フリーランスなりたての場合は断られてしまうケースも多いでしょう。 しかし、フリーランスでも、以下の条件に当てはめれば審査に通る確率は高くなります。
- 開業2〜3年以上
- 所得300万円以上(※所得=収入ー経費)
- クレカや公共料金を延滞していない
- 他の借入がない
- 連帯保証人がいる
- 頭金(自己資金)が多い
- ブラックリストに登録されていない
クレジットカードや公共料金の滞納があったり、自己破産や任意整理を行ったりすることでブラックリストに登録されてしまうと、審査には通りません。 また、キャッシングで借入を行っていることもローン審査に影響します。
住宅ローン・マイカーローン・教育ローンなどを予定している場合は、申し込みの数年前から準備しておくとベターです。
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実態②クレジットカードの作成
フリーランスは収入が安定しないため、会社員と比べるとクレジットカードの審査に通りにくいという傾向があります。 ですが、フリーランスでも、クレジットカードの作成は可能です。独立したばかりの方でも作成できるクレジットカードもあり、事業経費を支払うことを目的としたクレジットカードの活用がおすすめです。
例えば、以下のクレカは「個人事業主 / フリーランス」を対象としているため、比較的簡単に発行できます。
フリーランスになってからクレジットカードを作成したい場合でも、対象のカードを選択すれば、問題なく作ることができます。また、独立前であれば、審査の通りやすい会社員のうちに個人のクレジットカードを作っておくとよいでしょう。
実態③大手企業との取引
残念ながら「フリーランスとの直接取引はNG」という大手企業は存在します。
会社員であれば、会社という後ろ盾があるため信用されて取引をしてくれることが多いのですが、フリーランスは信用されず、企業から相手にされないことも多いのです。
しかし、直接取引は不可でも、エージェントや案件紹介サービスを介して取引するのは可能、というケースもあります。例えばエンジニア・デザイナー専門エージェントの「レバテック」では取引企業は5,000社以上。中にはGMOやDMM・価格ドットコムなど有名企業とのつながりがあります。
大手企業と取引したい場合は、直接連絡を取るのではなく、エージェントを経由すると契約できることもあるので、諦めずに確認してみましょう。
実態④賃貸契約
フリーランスが賃貸契約を結ぶのは難しいと、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。フリーランスは収入が安定しないため、毎月家賃が支払える保証がなく、賃貸を借りることは難しいのが現状です。
気になる物件を見つけた際は、以下の方法で社会的な信用性を証明するようにしましょう。
・収入を証明する書類を準備する(家賃の36倍程度の年収が目安)
・預金残高を証明する書類を準備する(1〜2年分の家賃があるとベター)
・連帯保証人または保証機関からの保証をつける
収入を証明する書類には「住民税の課税証明書」「所得税の納税証明書」「確定申告書の控え」などがあります。条件を満たすことが難しい場合でも、フリーランスの部屋探しをサポートしてくれる不動産屋さんも多いので、フリーランスということを伝えて相談してみるとよいでしょう。
フリーランスが社会的信用を上げる方法
ここまでお伝えしたように、フリーランスはクレジットカードの作成やローンの審査に通ることは難しい傾向がありますが、条件によっては問題ない場合もあります。
ここでは、フリーランスが社会的信用を上げる方法を解説します。
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方法①正確に確定申告を行う
フリーランスがローンを組む場合や賃貸を契約する際は、収入の証明として確定申告書の控えが必要になるケースがほとんどです。そのため、確定申告を正確に行うことで、確定申告書の控えが納税の証拠となり、社会的信用は高まります。
また、確定申告書は収入額が記載しているため、収入額の証明書としても使用することができます。
その際に注意したいのが、経費計上額を大きくしすぎないことです。
ローンの審査や賃貸の契約の際は、収入額が大きく影響し、収入額が高ければ高いほど有利になります。節税のために経費計上を増やしすぎてしまうと収入が減ってしまうため、注意が必要です。
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方法②預金額を増やす
貯金額の大きさは信用に大きく影響し、現金を多く持っていることでローン審査やクレジットカード作成時の審査に通りやすくなります。収入状況だけで審査の判断が難しい場合は、預金残高を示すことが審査材料となるためです。
大きな金額が貯まっていなくても、貯蓄を続けることが信用につながるケースもあるので、貯蓄をしておきましょう。
方法③支払いを遅延しないように注意する
クレジットカードや携帯料金などの支払いの遅延は、信用情報機関へ事故情報として残ってしまいます。信用情報機関に自己情報が掲載されると、ローンの利用やクレジットカードの作成が制限されてしまうため、注意が必要です。
事故情報が信用情報に記載されるのは、以下の3パターンです。
- 長期滞納をした場合
- 債務整理をした場合
- 代位弁済が行われた場合
支払いが2~3か月以上遅れると、長期滞納となり信用情報に記載されてしまいます。また、自己破産や任意整理などの債務整理をするとブラックリストに登録され、ローンの利用やクレジットカードの作成はほとんど不可能です。
事故情報は自己の内容や情報機関により異なりますが、少なくとも1年程度、長くて10年ほど解消されるまでに時間がかかるので、日頃から支払いの遅延がないよう注意しましょう。
まとめ
この記事では、フリーランスの社会的信用の実態について解説しました。「フリーランスは憧れるけど、社会的立場が弱そうだな…」と思っている方も、条件により社会からの信用は変わり、信用を上げる方法もあることを理解いただけたでしょうか。
近年リモートワーク・テレワークが浸透し、副業フリーランスも始めやすくなり、フリーランスの人口が増えてきました。その結果、フリーランスの社会的地位が向上していることが現状です。
- 開業から2〜3年経っていればローンが組める
- フリー向けのクレジットカードなら作りやすい
- 大手企業と直接取引は難しくてもエージェント経由で可能
- 収入・貯金を証明できれば入居審査も通る
- 確定申告を正確に行う
- 支払いは遅延しない
社会からの信用を上げる方法もあり、意外と社会的地位に対するデメリットは小さいのです。フリーランスは「時間が自由になる」「頑張った分、報酬で返ってくる」などメリットの方が大きく、社会的地位はそこまで気にならないのではないでしょうか。