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フリーランスには、いわゆる産休・育休制度がありません。「働けない期間は、収入がゼロになってしまうのでは…」と不安になりますよね。
しかし、フリーランスでも受けられるサポート制度を知っていれば、出費を抑えたり手当をもらえたりできます。注意したいのは、自分から手続きしないと恩恵を受けられない可能性があることです。そこで今回はフリーランスが妊娠・出産で活用できる制度を紹介します。
フリーランスに産休制度はない
会社員なら産休・育休制度が受けられますが、フリーランスでは受けられません。まずはフリーランスが妊娠・出産をするとどうなるか確認しましょう。
働けない時期は収入がなくなる
会社員であれば、妊娠・出産で休んでいる間にも産休手当・育休手当として収入がもらえます。しかし、産休・育休制度は会社員にのみ適用される制度のため、フリーランスは産休手当・育休手当がもらえません。
仕事を休んでしまうと収入がなくなってしまいます。妊娠・出産・育児というお金がかかるタイミングで ”収入ゼロ” では不安を感じるでしょう。
代わりにやってくれる人がいない
出産や育児のために仕事を休む場合、会社勤めなら他の人が対応してくれますが、フリーランスは異なります。代わりにやってくれる仲間はいませんし、たとえ代役を紹介しても、復帰後に以前と同様に仕事がもらえるとは限りません。
クライアントの立場で考えれば、数ヶ月〜数年ブランクがあるあなたより、その間対応してくれたフリーランスを採用するのは自然です。フリーランスの産休・育休には、休んでいる期間だけでなくその後の収入が減るリスクも潜んでいるのです。
フリーランスが妊娠・出産で活用できる制度
「フリーランスが子どもを持つのはハードルが高い…」と感じたかもしれません。
確かにフリーランスは産休・育休制度は使えませんが、フリーランスの出産・育児を支援してくれる制度も存在します。自分で手続きしないともらえないお金もあるため、しっかりチェックしておきましょう。
妊婦健診費用の助成金(補助券)
会社員・個人事業主問わずに使える制度として、妊婦健診費用の助成金制度があります。母子健康手帳 交付のタイミングで、「妊婦健診受診票」や「妊婦健診補助券」がもらえます。
妊娠中は定期的に妊婦健康診査を受けますが、受診票や補助券があれば一部助成となります。14回分の妊婦健診が対象なので、金銭的負担はグッと減るでしょう。
ただし、お住まいの医療機関でしか受診票や補助券が使えないため、里帰りで受診する場合は別途申請が必要です。使わなかった受診票や補助券・医療機関が発行した領収書などを提出すると、助成金を振り込んでくれます。
申請方法はエリアによって異なるため役所や保健センターに確認しましょう。
国民年金保険料の免除
フリーランス(国民年金第1号被保険者)が出産する場合、届け出をすると国民年金保険料が一時的に免除されます。出産予定日または出産日が含まれる月の前月から4カ月間、国民年金保険料を支払わなくて済むのです。
例えば令和4年度の国民年金保険料は月額16,590円ですから、合計66,360円が浮く計算になります。妊娠・出産で働けない間、少しでも支出が減るのは助かりますよね。
しかも、保険料は納付済みと見なされ、将来もらえる年金に反映されます。国民年金保険料の免除制度を使っても損はないので、ぜひ検討してください。
出産育児一時金
会社に勤める方は社会保険(健康保健)に加入しますが、フリーランスとして独立した場合は国民健康保険へ切り替えます。きちんと国民健康保険の手続きをしていれば、出産育児一時金として子ども一人につき42万円が支給されます。
支給方法は「直接支払制度」と「受取代理制度」があります。
- 直接支払制度:出産費用を医療機関から健保組合に請求する
- 受取代理制度:出産費用を被保険者に代わって医療機関が受け取る
ほとんどの医療機関で「直接支払制度」が採用されています。
医療機関が手続きを代行してくれる上に、事前にまとまったお金を用意する必要もありません。一方、「受取代理制度」では自分で健保組合へ申請しなければならず、限られた医療機関でしか利用できません。
出産前後の中、面倒な手続きをしたくないと思いますので「直接支払制度」をおすすめします。「直接支払制度」と「受取代理制度」、どちらの制度を利用できるかあらかじめ医療機関に確認しておきましょう。
出産費貸付制度
出産にかかわる費用が捻出できない場合は「出産費貸付制度」を利用しましょう。
全国健康保険協会から無利子でお金を借りられます。上限金額は出産育児一時金の8割、つまり33.6万円です。返済は出産育児一時金があてられるため、今すぐお金を工面しなくても良いのがメリットです。申し込みの方法は全国健康保険協会のホームページにて確認できます。
児童手当
児童手当は、0歳から中学校卒業(15歳)までの子どもを育てている保護者に支給されるお金です。
金額は子どもの年齢や子どもの数、所得金額によります。例えば子どもが3歳未満で、保護者の所得が制限限度額以下なら毎月15,000円がもらえます。
※前年末に子どもが産まれていない場合、所得制限限度額は622万円。
子どもが産まれた翌日から15日以内に市区町村に申請しましょう。児童手当の支給は申請した月の翌月分からとなりますので、申請が遅れれば遅れるほど受け取れる金額が減ってしまいます。詳しくはお住まいの市区町村のホームページや役所にて確認してください。
まとめ
今回はフリーランスが妊娠・出産で活用できる制度を紹介しました。
フリーランスは会社員のように産休・育休制度が受けられないため、働いていない時期は収入が発生しません。しかし、「フリーランスだから不利」「フリーランスだから子どもは諦めなきゃ」ということはありません。フリーランスも受けられる制度を知っていればお金の不安は軽減できます。
さらにフリーランスには、子どもと一緒に居る時間を増やしたり、子どものイベントに合わせて仕事を調整できたりとメリットも存在します。会社員よりも自由に働けるフリーランスだからこそ、自分のしたい生き方を実現しましょう。