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近年の終身雇用制度の崩壊や働き方改革に伴い、自分で開業して事業を始める方が増えてきました。しかし「開業したい」と思っても、開業にはさまざまな手続きが必要なので、どのような準備をしたらいいのか分からないと思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、開業の手続きや開業前後にやっておくと良いことを具体的にご紹介していきます。
開業とは?
開業とは、新しく事業を始めることです。この場合の事業とは生産や営利などの目的を持って継続的に行うことを言います。開業をすれば自由に自分のやりたいことや得意なことを生業としていけることができます。
開業の手続き
開業したら、税務署に以下の書類を提出する必要があります。
- 開業届
- 青色申告承認申請書
事業を始めたら、本業でも副業でも開業から1か月以内に「開業届」を出すことが義務付けられています。開業時には継続してその仕事を続けられるのか不安に感じる人もいると思いますが、開業届の提出は義務である上に出すことによってさまざまなメリットを受けることができるので、必ず税務署に提出するようにしましょう。書き方など分からないことがあれば事務所を設置する地域を管轄する税務署に行けば詳しく教えてもらえます。
開業前にやっておきたいこと
ではここからは、開業する前にやっておきたいことについてご紹介していきます。
雇用保険の活用
現在会社員として働いている方は、雇用保険に加入しています。雇用保険は失業した時に失業手当(失業保険)がもらえるというイメージしか持っていない方も多いと思いますが、それ以外にも「教育訓練給付制度」や「専門実践教育給付金」といった仕組みもあります。
教育訓練給付制度
働く人の能力開発を目的としており、厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合、本人が支払った教育訓練費の20%(上限10万円)が給付金として付与される仕組み。
専門実践教育給付金
中長期的なキャリア支援を行う制度で、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を受講して修了した場合に教育訓練費用の一定の割合額が支給されるという仕組み。
このような仕組みを使ってスキルを身につけたり、資格を取得してから独立するという方法もあります。また退職してすぐ開業せずに失業保険を受け取りながら開業の準備をしてもよいでしょう。
ローンやクレジットカードの契約
ローンやクレジットカードは本人の信用情報と会社の信用度を見て審査が行われます。開業した当初はまだ事業の実績がないことから、審査が厳しくなると言われています。そのため、会社員のうちにローンを組んだりクレジットカードの契約をしておくことをおすすめします。特にクレジットカードは開業後の資金繰りで活用することもできるので、複数枚つくっておくといいでしょう。
ドメインの取得
開業後には自分の事業用のサイトやメールアドレスが必要になりますので、屋号が決まったらドメインを取得しておきましょう。特にメールアドレスは開業時の手続きや準備で登録が必要になってきますので、事業用のメールアドレスは早めに準備しておきましょう。
またドメインは早いもの順となっているため、屋号が決まったらすぐに取得しておくことをおすすめします。基本的には屋号と揃えるのがいいですが、あまり長い文字列は覚えられづらいの一部を略すなどしても良いでしょう。個人の場合は「.co.jp」は取得できないので「.com」や「.jp」などを利用する方が多いですが、最近さまざまなドメインも増えているので自身の事業をイメージできるようなドメインにするのもよいでしょう。
開業後にやるべきこと
では、開業後にはどのようなことを行えばよいのでしょうか?
事業用口座の作成
開業届を提出すると屋号付きの口座を作成することができるようになります。個人の口座と共用してしまうと事業の収支が分かりづらくなるので、事業用の口座は準備するようにしましょう。また、顧客との取引をする際にも事業用の口座を入金先にしたが信頼性も高まるので、必ず必要なものと言えるでしょう。
事業用クレジットカード
クレジットカードの中には、個人事業主向けのものがあります。このようなクレジットカードであれば開業直後でも比較的審査が通りやすく、個人事業主向けのサービスなども付帯していたりします。また、事業で必要な経費はなるべくクレジットカードで支払うことで支払いのタイミングを遅らせられるので資金繰りが楽になります。またポイント貯めたりとメリットも多いのでぜひ作っておきましょう。
確定申告の準備
開業した方は毎年確定申告を行うことが義務付けられます。確定申告では事業に関する入出金の明細を帳簿にして提出する必要があります。確定申告直前に売上や経費などをまとめて集計するのは大変なので、日頃から記録できるように準備をしていきましょう。
最近はクラウドの会計ソフトを利用すれば事業用口座やクレジットカードと連携して自動入力させることでほぼ自動化でき、確定申告時に必要な書類を自動生成することもできます。
国民健康保険の加入
開業した場合には基本的に国民健康保険に加入することになります。ただし、会社員時代の社会保険を任意継続するという方法もあり、人によってはそちらの方が保険料が安い場合もありますので、きちんと計算して、よりメリットのある方法を選択しましょう。
まとめ
いかがでしたか?開業することで自分の得意なことを生業にし、自由な働き方を望めるようになりますが、その分責任も増えて会社員であれば会社がやってくれていたような手続きも全て自分で行うことになります。
開業にはさまざまな手続きが必要となり、期限が過ぎてしまうとできない手続きややらないことで損をしてしまうものなどもありますので、タスクリストなどで管理してしっかりと準備することでよりスムーズに事業を進められるようにしていきましょう。
この記事を書いた人
WRITER
中村 和正
Kazumasa Nakamura
株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター
Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。