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Webサイトをリニューアルしてはいけない理由とは

2021.10.06

中村 和正

世の中には様々なWebサイトがありますが、数年単位でリニューアルされることが多いですよね。もちろん私も数多くのリニューアルプロジェクトに携わってきました。リニューアルをしたいという理由は様々ですが、実は「それ本当にリニューアルが必要?」というケースも少なくありません。

リニューアルすればWebサイトは必ず良くなるの?

まず第一にリニューアルをすれば無条件に今のWebサイトより良くなると思われていることが多いです。もちろん今より良くしようとリニューアルをするわけですが、リニューアルはメリットばかりではありません。

  • 今まで利用してもらったユーザーにまた使い方を覚えてもらわないといけない。
  • 現状のSEOでの順位がキープされる保証がない。
  • プロジェクトが上手く行かずに多大な予算と人的リソースを浪費してしまうかもしれない。
  • リリースに失敗してサービス停止に陥ってしまうかもしれない。

などリスクも少なくありません。まずはそのリスクを背負ってでもリニューアルする理由があるかを検討する必要があるでしょう。

そう言われるとリニューアルするほどではないが、改善すべき課題はある。というケースも多いのではないでしょうか。

すぐフルリニューアルするのはWeb業界ならでは。

ここで世の中を少し見渡して見ると、実はWebサイトのようにフルリニューアルが行われるサービスや製品はかなりレアケースです。

例えば、多くの人が利用しているwordやexcelといったアプリケーションがリニューアルしましたと言ってメニューの項目から、ラベル、並び順などガラッと変わることはないですよね。

もちろん機能が増えたり、使い勝手が見直されたりはしますがバージョンアップという形で更新されます。バージョンアップし、機能が増えていても「前に使ってた機能が見つからなくなった」「使いづらくなった」なんて声もあがります。

なのでβ版を先行リリースしたり、一定期間は前バージョンに戻せるようにするなど、慎重に切り替えを行います。

また、自動車などもマイナーチェンジやモデルチェンジといった形で今までのデザインや特徴を継承しながら形を変えていますね。

さてWebサイトに話を戻すと、コンテンツやサービスは引き継がれることはありますが、UIや機能はゼロから設計されることが多いのではないでしょうか。しかも旧サイトの設計思想を知らない新しい担当者や制作会社が担当する場合などはなおさらです。

  • サービスやツールとして多くのユーザーに利用されているもの
  • 分析やUI改善を繰り返してきたもの

は本当にリニューアルすべきなのか考え直してみてもいいかもしれません。

フルリニューアルをしなかったら大成功。

実際に私が担当したプロジェクトでフルリニューアルをしなかったことで成功をおさめたものもあります。

最初は基幹システムの入れ替えがあるので、Webサイトをリニューアルしたいという要件でした。ですが、詳細なヒアリングや調査をしていくと、以下の状況が分かりました。

  • 既存ユーザーの利用率が高いこと
  • SEOの成果が良好だったこと
  • 改修を繰り返してきたので読み込みが遅かった
  • システムの入れ替えは必須だった。

ここから総合的に判断して、フルリニューアルではなく、UIは既存サイトの改善のみにしてシステム及びHTMLはすべて再構築するというプロジェクトにしましょうとなりました。

結果としては既存ユーザーの使い勝手と表示や動作のパフォーマンスがあがったことで、売上を向上させることができました。見た目はほとんど変わっていないので既存ユーザーは裏側が刷新されていることにも気づいてなかったと思います。

もちろんすべてのWebサイトがリニューアルすべきでないと言うことではなく、広告的な役割の強いものや極度の経年劣化、事業形態や企業のブランディングが大幅に変わった場合などフルリニューアルの方が良い場合もあります。

そのプロジェクト見直してみませんか?

Webサイトリニューアルの依頼ということであれば、リニューアルを前提に話が進んでいくかと思いますが、よくよく聞いてみると「今のWebサイトに課題がある、なんか変えたいからフルリニューアル」という感じで進んでいるケースも多くあります。

前述のフルリニューアルをしなかった案件も、「基幹システムが変わるからリニューアルしないといけないと思っていて、UIを変えないという発想はなかった。」という状況でした。

そのままフルリニューアルの依頼を受けていた方が単純に受注金額は大きくなっていたでしょう。しかし、リスクと投資を最小限におさえて効果を得られるというプロジェクトを提案、実現したことでクライアントから評価され今でも何かあれば1番に相談を受けるという関係性を築けています。

もしWebサイトリニューアルの案件があったら、

  • それは本当にリニューアルじゃないと駄目なのか?
  • バージョンアップやマイナーチェンジでは成果は出せないのか?

ということも選択肢にいれてプロジェクトを発足してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人


WRITER

中村 和正

Kazumasa Nakamura

株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター

Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。