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4C分析とは?顧客視点で事業を分析するマーケティング理論

2022.05.18

中村 和正

マーケティング理論は、顧客のニーズと市場の変化に応じて進化し続けています。「4C分析」とは、価値やコスト、利便性、コミュニケーションといった『顧客目線』で事業を分析するフレームワークで、事業活動や事業拡大を客観的に分析することができる特徴があります。

企業が成功するためには、単に製品を市場に投入するだけでは不十分であり、顧客の視点を深く理解し、それに基づいて価値を提供することが重要です。市場での顧客の消費行動に着目することはとても重要です。4C分析は、市場の動向を顧客の視点から捉え、持続可能な競争優位性を築くための戦略を立案する際に不可欠です。この理論は、顧客満足度の向上、ロイヤルティの構築、ブランド価値の向上に直接寄与し、ビジネスの成功に欠かせない要素として位置づけられています。

ここでは4C分析がどのようなものなのか、その概要や活用方法、分析方法について詳しくお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。 

4C分析とは

「4C分析」とは、アメリカの経済学者ロバート・ラウターボーン氏により考案されたマーケティング理論で、「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4頭文字のCを取ったフレームワークです。

それまでのビジネスは、「4P分析」と呼ばれる「製品・サービス(Product)」「価格(Price)」「流通チャネル(Place)」「広告・販売促進(Promotion)」といった4つの「P」である売り手側の視点で捉えることが主流でした。

しかし、市場が大きくなるにつれて競合との競争も激化し、売り手視点で事業を捉えるのではなく、顧客視点の重要性について考えられるようになったのです。

関連:4P分析とは?顧客視点から問題を解決するマーケティング理論を解説

4C分析の概要

4C分析ではこれまでにあった営業戦略のように売り手側から分析するのではなく、「顧客視点」で事業活動を分析するのが特徴で、自社のマーケティング戦略の立案に繋げていくことを目的としています。

4つの要素、「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」ではどのような視点で分析していくのか、解説していきましょう。

顧客価値(Customer Value)

顧客が商品やサービスに対してどのような部分に価値を感じているのか、利便性や扱いやすさ、性能をはじめとして、デザインやブランドの持つイメージなど、顧客が考えるあらゆる視点から価値を引き出していきます。

顧客のコスト(Cost)

顧客が商品やサービスの価値を得たいと感じたときに、どのくらいの金額なら支払うことができるのかといった金額面をはじめとして、購入にかける時間、交通費なども含めて、あらゆるコストに対して顧客の思考を分析します。

顧客利便性(Convenience)

顧客利便性とは、顧客が商品やサービスを購入する際に、入手はしやすいか、店舗へのアクセスはどうか、店舗に到着する時間はどうか、ネットショップは購入しやすいのかなど、どのような販売方法なら購入に繋がりやすいのか、顧客目線で分析していきます。

顧客とのコミュニケーション(Communication)

特に現代ではインターネット・SNSが普及したこともあり、対面でのコミュニケーションだけではなく、オンラインでのイベント、SNSでの情報発信、顧客からの質問・相談など、どのようなツールであれば顧客が親しみを持ちやすいのか分析し、関係構築に繋げていきます。

4C分析と3C分析、5C分析との違い

4C分析は、前述したように顧客中心のマーケティング戦略を構築する際に重視される「Customer needs(顧客ニーズ)」「Cost(コスト)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーション)」の4つのCを分析する手法です。これは伝統的な4P分析(Product、Price、Place、Promotion)の顧客中心の代替として提案されました。

一方、3C分析は「Company(企業)」「Customers(顧客)」「Competitors(競合)」の3つのCにフォーカスし、企業が競争戦略を立てる際に自社の位置を明確にし、顧客ニーズと競合の戦略を理解するために使われます。

5C分析は、3Cにさらに「Customer(中間顧客)」と「Community(地域)」を加えたもので(業種により、「Context(背景)」や「Collaborators(協力者)に変更する場合あり)、より広範な市場環境や協力ネットワークを考慮に入れます。

それぞれの分析方法はマーケティング戦略や事業計画を立案する際に重要な役割を果たしますが、その焦点と用途には違いがあります。

4Cは顧客中心に事業を見直し、顧客の視点から製品やサービスを再評価します。3Cは競争戦略を中心に、市場内での企業の位置付けや競合との関係を分析します。5Cはこれらの要素に加え、より広い範囲の市場環境や協力関係を踏まえた全体的な戦略策定に役立ちます。

関連:3C分析とは?目的とやり方のポイントを解説

4C分析の活用方法

4C分析には「カスタマージャーニー」と呼ばれる、顧客が商品やサービスを購入するまでの行動に着目し、顧客がどのように情報収集するのか、どのように比較検討して購入に至るのか、アフターフォローも含めて分析していきます。

事業活動の分析

事業で取り扱う商品やサービスは、顧客目線で分析した場合、社会環境の変化・時代の流れなどと共に顧客ニーズとかけ離れていることが珍しくなく、定期的に見直しや調整、改善などに取り組むことによって、顧客に選ばれるための事業活動を分析していくことが重要です。

事業拡大への分析

事業拡大に必要な新しい事業アイデアを実際に顧客に提供したとしたら、どのような影響を与えることができるのか、開発者や販売者、担当者側の主観ではなく、顧客の視点によって分析することが大切です。

競合の分析

特に個人事業の場合であれば市場には多くの競合が存在するが、その中で特定の競合に着目して商品やサービスの企画力やブランド力、魅力、金額など、顧客視点で価値を分析することによって、競合に打ち勝つ商品やサービスの提供が可能になります。

まとめ

事業活動を「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」といった、顧客視点の4つの要素から事業活動や事業拡大を分析するフレームワーク『4C分析』をご紹介しました。

市場が拡大するに連れて、売り手側の主観ではなく顧客視点で分析するのはとても重要であり、顧客の消費行動から事業活動や今後の事業展開の方法を引き出すことができるのです。

顧客が自社に対してどのような影響を与えるのか、競合と比較して事業活動を優位にするためにも、ぜひ取り組んでおくことをおすすめします。

この記事を書いた人


WRITER

中村 和正

Kazumasa Nakamura

株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター

Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。