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5forces(ファイブフォース)分析とは~5つの脅威から戦略を導くフレームワーク

2022.04.06

中村 和正

個人事業ではさまざまな外部要因が脅威となって影響を受けることも少なくありません。「5forces(ファイブフォース)分析」では、5つに分類した脅威を分析することによって、事業を優位に進めるヒントを見出すためのフレームワークです。

ここでは「5forces(ファイブフォース)分析」がどのようなものなのか、その概要や目的、やり方について詳しくお伝えしていきましょう。

5forces(ファイブフォース)分析とは?

「5forces分析」とは、ハーバードビジネススクール教授であるマイケル・ポーター氏が提唱した理論です。

「5forces分析」では競争が激しければ収益性は落ち、競争が少なければ収益性が上がるという前提のもとにいかに激しい競争に巻き込まれないか、競争の少ない領域を見つけていくかということが重要になります。

5forces分析の活用シーン

個人事業では競合他社からの影響を強く受けることがありますので、差別化や顧客ニーズを掴むことによって優位に事業展開できるよう施策を打ち出そうとしますが、なかなかうまくいかないことも多いのではないでしょうか。

5forces分析を活用することによって自分の事業に脅威となる外部要因を把握することができますので、同業種での競争に対してどのようにして打ち勝つのか強みを見出したり、新規参入、あるいは事業撤退するための判断材料としたり、コスト配分の判断などに役立てることができます。

5forces分析の『5つの脅威』

  1. 競合他社との競争
  2. 新規参入
  3. 代替品の存在
  4. 買い手(顧客)の交渉力
  5. 売り手(サプライヤー)の交渉力

5forces分析においては脅威を上記5つの要因に分類しており、それぞれの関係性を示すことによって、自身の事業にどのような影響があるのか見通しを立てることができるようになります。

競合他社との競争

Web制作のように競合が多い業界では、価格競争が激化する傾向があり、2次請け、3次請けとなるケースの多い個人事業主はその影響を強く受ける可能性がありますので、何らかの差別化要因を持つことが必要になります。

新規参入

大きな設備投資のないWeb業界は新規参入のハードルが低い業界と言えるでしょう。新たな競合がどんどん参入してくる中でも仕事を奪われない強みや独自性が重要となります。

代替品の存在

競合の新規参入だけでなく、代替品によっても影響を受けることがあります。Web業界で言えばノーコードでWebサイトやシステムが構築できるサービスなどの登場で制作が不要になっている状況もあります。

こういったサービスは多くの利用者を募ることで1人あたりの利用料が安く済むというモデルなので、コストで対抗することは難しくなります。その為、汎用的なツールでは実現できない機能や人間でしかできない領域で差別化を追求することが必要となります。

買い手(顧客)の交渉力

購買力の高い企業に製品やサービスを販売するような場合には、顧客である企業の交渉力によって値引きに応じざるを得ず、大きな利益を上げることが難しくなってしまうことがあります。

買い手(顧客)の交渉力に対抗するためには、他社には真似できない技術や知識を持つことや、クライアントのことをよく理解してスムーズなコミュニケーションを行うことで他社へ乗り換えることによるデメリットやスイッチングコストが高くなる状況を作ることで、乗り換えられるリスクが低下します。

売り手(サプライヤー)の交渉力

自身の事業活動で必要不可欠な仕入れやサービス利用がある場合、その売り手(サプライヤー)の交渉力が強い場合には、価格交渉を行うようなことができず、利益を出しづらくなってしまう可能性があります。

これは発注先の選択肢を多く持つことや自社内のリソースでできることを増やすことで脅威の度合いを下げることができます。

5forces分析のやり方

5forces分析で大切なことは、冒頭からお伝えしてきた脅威となる5つの競争要因を知るだけではなく、それらを分析し、分析結果の中から戦略を導き出すことです。

「競合他社との競争」において言えば、業界内で競争が激しくなることによって、利益がどの程度減少してしまいそうなのか、競合の多さや固定費の高さ、撤退障壁の高さなどから具体的に分析していきます。

「新規参入」であれば、新規参入してくる事業者によってどれくらいの利益が奪われそうなのか、新規参入のメリットや技術の難易度、チャネル構築の難易度、法規制などの視点から分析を行います。

「代替品の存在」では、その代替品によってどの程度の利益が奪われてしまうのか、代替品の多さや価値の高さ、代替品のコストなどから分析することで明らかになります。

「買い手(顧客)の交渉力」においては売上を上げやすいのかどうか着目することが必要で、供給が過剰になっていないか、差別化を図りにくいか、オープン価格となっているか、などといった視点で分析していきます。

「売り手(サプライヤー)の交渉力」については仕入コストが下げやすいかどうか着目し、仕入れが必要な部材の供給量や独自性、供給業者の寡占度などで分析することによって判断することができます。

まとめ

事業活動に対する脅威を5つに分類して、問題への対策や戦略の立案を行うことができるフレームワーク「5forces(ファイブフォース)分析」についてお伝えしました。

5つの脅威に着目することによって、事業活動に対する環境を適切に分析することができ、その脅威から自社を守りながら、事業活動を行うことができるようになります。

5つの分類に沿うことで、普段ではなかなか見えにくい要因を見つけられることから、有益な分析方法であると言えるでしょう。脅威となる要因を分析し、事業活動を優位に展開していくためにも、ぜひ取り組んでみることをおすすめします。

この記事を書いた人


WRITER

中村 和正

Kazumasa Nakamura

株式会社 gracenote CEO
WACAウェブ解析士マスター

Web業界17年目。Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運用支援を行うほか、プロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。 自身がWebフリーランスから法人成りした経験を活かし、フリーランスの独立・成功を支援しています。