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フリーランスになった人にとって、難しく感じることのひとつと言えば「税金」です。会社員の頃は、勤務先が給料から自動的に天引きしてくれて、納めるべき税金を納めていましたが、フリーランスになってから、確定申告の難しさを痛感した人も多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスが納める税金の種類と今からでもできる節税対策を解説しています。
所得と収入の違い
まずフリーランスが税金を計算する際には、「所得」と「収入」の違いを理解しておく必要があります。
収入とは、働いて得た金額そのものです。例えば、年間で200万円の案件を受注した場合、そのフリーランスの収入は200万円となります。しかし、200万の収入を得たとは言え、その案件をこなすためには電気代や交通費、インターネット通信費などのさまざまな経費がかかっていますよね。これらの経費を収入から引いた金額が「所得」となり、この「所得」が課税の対象です。
例えば、200万円の収入があるフリーランスが経費に50万円かかったとします。この場合の所得は「200万円−50万円=150万円」です。さらに所得から税金や国民保険など支払った分が手取りになります。
フリーランスが税金を考える時は、所得と収入の違いをしっかりと理解しておきましょう。
フリーランスが納める税金は4種類
フリーランスが納める税金は、主に以下の4種類です。
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
ここでは、各税金の概要を説明していきます。
所得税
所得税は、1年分(1月1日〜12月31日)の収入から経費を差し引いた「所得」に応じて支払う税金です。所得税の税率は、所得金額に応じて変動する超過累進税率となっており、所得金額が大きくなるほど税率も高くなります。
税率は、下記の通りです。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税の控除額とは、所得の金額に応じて差し引かれるものです。控除とは課税対処額から一定の金額が差し引かれることで、税負担を軽くするメリットがあります。
また、現在は東日本大震災からの復興財源確保に関する「復興特別所得税」が一律で2.1%課されます。
したがって、所得が300万円のフリーランスが支払う所得税は以下の通りです。
300万円×10%−97,500円=202,500円
202,500×2.1%=4,252円
202,500円+4,252円=206,752円
所得税の基準は、このような計算方法で算出されます。
また、所得税には企業が個人事業主に払うときに、あらかじめ引いてくる「源泉徴収」という制度があります。
これは報酬を受け取る時点で所得税が事前に徴収されるというもので、確定申告の際に差額の調整が行われます。源泉徴収した分が課税する金額に満たない場合は不足分を納税し、逆に多く徴収されていた場合は還付金として返還されます。
住民税
住民税とは、都道府県や市区町村に対して個人が支払う税金です。会社員の時は、給与から自動的に天引きされていますが、個人事業主は自分で納めなければなりません。
住民税は、行政サービスを提供するための財源確保として徴収されており、具体的には教育や福祉サービス、ゴミ収集などの公共サービスに利用されています。住民税は、所得に応じた「所得割額」と所得に関わらず納税する「均等割額」の2つで構成されています。
そのため、収入に応じて住民税も納める金額が変動するのです。また、住民税が免除される年収は住んでいる自治体によって異なりますが、目安として年収93万円〜100万円以下は、住民税が非課税になります。
消費税
消費税は、商品やサービスを取引する際に課される税金です。消費税は、基本的に2年前の課税売上高が1,000万円を超えた時に支払い義務が発生します。2年前を基準とするため開業から2年間は売上に関わらず免除されることになります。また2年以上経っても売上高が1,000万円を超えない場合は消費税を納める必要はありません。
ただし、2023年10月からインボイス制度という消費税に関係する制度が開始されます。
インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」と呼ばれるもので、仕入税額控除を受けるための制度のことを指しています。企業は適格請求書発行事業者に登録している事業者への支払いでないと仕入額控除が受けられなくなるため、適格請求書発行事業者になっていない個人事業主への発注を避ける可能性が出てきます。
ですが、個人事業主が適格請求書発行事業者に登録すると、売上高が1000万以下でも消費税を納める義務が生じます。
つまり今まで売上1000万以下で消費税を納めていなかった個人事業主は企業から発注されないリスクを背負って免税事業者のままでいるか、課税事業者になるかの判断を迫られます。
ただし、このあたりは個人事業主の税負担を軽減するような動きも見られているので、制度施行の時期にかけて注視していく必要があるでしょう。
個人事業税
個人事業税は、地方税の一種で住んでいる都道府県に対して納める税金です。個人事業税の課税対象となるのは、法律で定められた70の業種のみです。個人事業税の対象となる職業は、以下のリンクから確認できます。
個人事業税は、業種によって3%〜5%の税金を納める必要があります。ただし、個人事業性の対象となる職業であっても事業所得が290万円以下の場合や、過去3年で赤字の繰越がある場合は、納付が免除されます。
フリーランスがすべき3つの節税対策
フリーランスが払う税金の種類をご紹介してきました。ここでは、フリーランスがすべき3つの節税対策について解説していきましょう。
経費として計上できるものはないか確認する
フリーランスは、仕事でかかった全ての費用を経費として所得から差し引くことができます。例えば、打合せのための交通費、仕事で使用するパソコンやソフトの購入費用などは全て経費です。
また、自宅で仕事をしている場合は、電気・ガス・水道などの光熱費も経費として計上できます。ただし、家事按分と言って光熱費などプライベートと仕事で共有される支出は利用割合を計算して、仕事に使用した分しか計上できない点は注意が必要です。
収入から経費を引けば、納税の基準となる所得が下がりますので、細かいものでも、経費に認められるものは抜け漏れなく計上することで節税対策になります。
所得控除を利用する
所得控除とは、課税の対象となる所得を減らせる制度です。所得控除の種類は、2022年11月現在15種類もあります。
代表的なもので言うと、自分の選んだ自治体に寄付をして返礼品を受け取れる「ふるさと納税」は、寄附金控除に該当します。こうした控除制度を把握しておくことで、フリーランスの所得はさらに減らせるでしょう。
確定申告は白色申告ではなく青色申告で行う
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告は、「青色申告特別控除額」があり最大で65万円の控除が可能です。ただ、青色申告をするためには開業届の提出や、複雑な手続きが必要になります。
一方で、白色申告は手続きが簡易的で青色申告のように複雑な申告が必要ないのがメリットです。しかし、白色申告は青色申告のように控除額の特別優遇はありません。
そのため、所得が多く少しでも控除を受けたいフリーランスは、多少の手間がかかっても白色申告ではなく青色申告で確定申告を行いましょう。
まとめ
今回はフリーランスが支払う税金の種類と今からできる節税対策についてお伝えしました。フリーランスになって、初めての納税は分からないことだらけで、戸惑うことも多いはずです。
上手に節税することも大事ですが、それ以前に申告や納税漏れなどがあると加算税がかかることもあり、知らなかったではすまされません。自分ではよく分からない、不安だという場合は、税理士や税務署などに相談してみるとよいでしょう。
また帳簿の記帳代行サービスや個人事業主でも顧問契約してくれる税理士もいます、専門領域じゃない部分は上手くアウトソースすることもフリーランスにとっては重要なことですので、自分なりのシステムを構築できるようにしましょう。
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freenote編集部
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