『パワーナップ(積極的仮眠)』が、脳内をクリアにし、作業効率を高めることができるとして注目されています。近年では睡眠に対する研究が進み、日中の20分程度の仮眠によって身体を効果的に休ませ、脳をスッキリさせることが明らかになっていることから、仮眠を推奨したり、仮眠スペースや仮眠時間を導入したりする企業も増えてきています。
セルフコントロールが重要なフリーランスの方も日中のパフォーマンス維持に役立つはずですので、ここではパワーナップの科学的な根拠をはじめとして、そのやり方やメリットについて詳しくお伝えしていきます。
パワーナップ(積極的仮眠)とは?
「パワーナップ」は、パワーアップ(power up)と昼寝・うたたね(nap)を掛け合わせた造語で、社会心理学者ジェームス・マース氏が提唱した短時間仮眠法のことを言います。
2000年前後から仮眠に対する研究が進み、特に「NASA(アメリカ航空宇宙局)」の実証実験において、20分程度の過眠によって認知能力や注意力が著しく向上した報告を行ったことから注目されるようになりました。
昼食後、睡魔に襲われる経験をした方は多いと思いますが、これは血糖値の向上だけではなく生体リズムが関係していると言われており、午後2時から4時くらいの間は眠気のピークが訪れることが分かったのです。
そのため、どうしてもその時間には作業効率が落ちやすいと言え、むしろこの時間を狙って仮眠を取り眠気を解消させてしまうことは、生理学的な観点から見ても有効な手段であると考えられるようになりました。
ただし、あくまで20分前後の短時間仮眠が有効であり、30分以上になるとノンレム睡眠のステージ3以降の深い眠りにまで到達することになり、むしろ目覚めが悪く、しかも起きてから頭がぼんやりしてしまうために仮眠の時間管理はとても重要なのです。
パワーナップが疲労を解消する驚きの理由
パワーナップがなぜ疲労を減少させるかと言えば、それは睡眠の仕組みが大きく影響しています。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という用語はご存知だと思いますが、これらは睡眠の深さを示す用語です。パワーナップではノンレム睡眠の初期段階で目覚めます。
特に、ノンレム睡眠の第二段階では、睡眠開始から約20分で脳は一時的な情報を整理し、不要なものを消去します。そのため、パワーナップによって脳の疲労物質が取り除かれ、身体に好影響を与えることがわかっています。
情報過多の現代社会では、脳は休息を求めています。パワーナップは、この必要性に応え、短時間で脳をリフレッシュさせる効果的な手段です。これを行うことで、私たちは脳の疲れを和らげ、最大限のパフォーマンスを引き出すことができるのです。
パワーナップ(積極的仮眠)の効果的なやり方
パワーナップは仮眠を取って、昼間の眠気を取り、作業効率を高めるテクニックですから難しいものではありませんが、効果的に取り入れるためにはやり方をしっかりと把握しておく必要があります。
座った姿勢で目を閉じる
パワーナップは特に場所の指定はありませんが、深い眠りに落ちて起きれないということになってしまわないためにも、姿勢が大事になります。仕事場の机にうつぶせになったり、椅子の背もたれに寄りかかったりした状態で目を閉じることが良いでしょう。
光を遮る
明るい環境では、メラトニンの分泌が減ってしまうため、睡眠の質がどうしても下がります。そのため、なるべく暗い環境での仮眠が望ましいです。もし暗くすることが難しい場合は、アイマスクを着用するなどして光を遮ることをおすすめします。
静かすぎず心地よい環境で
騒がしくない、かと言って静かすぎない環境がパワーナップに向いていると言われており、「ホワイトノイズ」と呼ばれる雨や風、波などの心地よいと感じられる音をスマホやパソコンなどから流しておくと効果的です。
時間管理が大切
パワーナップは日中に20分程度といった時間管理がとても重要で、30分を超えると脳の活性が悪くなり、しかも夕方以降になると夜間の睡眠の質に影響を及ぼしてしまうために、むしろ非効率になると考えられています。
仮眠後は軽くストレッチ
20分程度の仮眠から目覚めたら軽くストレッチをすることによって脳や身体の血流をよくすることができ、自律神経の働きを活発化させることができますので、脳のスイッチを入れて活動モードにするためにも取り入れるようにしましょう。
パワーナップ(積極的仮眠)の事業効率やパフォーマンスへのメリット
ひと昔前では仕事中に仮眠するというと不謹慎のように感じられていましたが、科学的な研究が進んだことで、事業効率やパフォーマンスに対して大きなメリットがあることから積極的に取り入れられるようになりました。
どのようなメリットがあるのかお伝えしていきましょう。
心身の状態の改善
日中に生じる眠気は、脳や身体から睡眠を求めている合図であると捉えることができ、無理に我慢してしまうと疲労が蓄積してしまうため、むしろ眠気に向き合うことによって心身の状態を改善させて疲労回復をし、メンタルヘルスを保つことができます。
作業効率の向上
パワーナップは自律神経の働きを活発化させることができ、積極的に活動を促す「交感神経」を優位させることから、仮眠から目覚めた後は集中力向上につながり、仕事の効率を向上させることができます。
情報の整理・記憶
仮眠によって脳を休息させることで、脳内に詰め込まれたさまざまな情報の整理を促し、記憶を定着させ、脳内をクリアにする効果があると言われています。
その他にも心臓疾患や認知症の予防、免疫力を高める効果なども期待されていますので、パワーナップをぜひ取り入れていただけたらと思います。
特に、日中の仮眠は夜間の睡眠と比較して3倍もの効果があると言われているために、積極的にパワーナップを導入される理由も理解できるのではないでしょうか。
まとめ
「パワーナップ」は、日中に20分程度の仮眠を挟むことによって、脳内をクリアにし記憶の定着を図ることができ、さらに自律神経の交感神経を優位にさせる効果が期待できることから、作業効率を高めるメリットがあることが分かっています。
作業場の机にうつぶせになったり、椅子に寄りかかったりして仮眠するのがおすすめで、目覚めた後は軽くストレッチすることによって、作業モードに切り替えて集中することができます。心身のストレスを改善し、仕事のパフォーマンスを高めるためにもぜひ取り組んでみることをおすすめします。
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freenote編集部
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